徒然なる儘に ・・・ ④

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

8月6日 そっと歩いて 2023/8/6 05:00

地下の納骨室には約7万体の遺骨が眠る。広島・平和記念公園内の原爆供養塔である。その多くは氏名不詳という。名前が分かっても、家族や縁者が亡くなり帰る場所がない。惨禍の記憶を留(とど)めたまま、時が止まった場所である。

▼「どうかそっと歩いて下さいね」。長年にわたり供養塔の周囲を清掃し続けた佐伯敏子さんの言葉が、証言集『ヒロシマ・死者たちの声』(石川逸子著)にある。眠りを妨げないよう、塔を訪ねる人たちに何度も頭を下げたのだろうか。佐伯さんは被爆体験の語り部でもあった 

▼悲しいかな、世界の情勢は険しさを加えている。核の威嚇に訴えるロシア。核戦力の増強に余念がない中国。自国民の窮乏を顧みず、核開発に突き進む北朝鮮。おびただしい犠牲を出した78年前の惨禍をもってしても、痛みの響かない国がある。

▼きょうは、広島の原爆忌である。核軍縮という理想の追求と、米国の〝核の傘〟に守られている現実のはざまで、唯一の被爆国であるわが国が抱える課題は山積みだ。犠牲者の静かな眠りをどう守り続けるか、胸に手を当て問い直す日でもあろう。

▼各国首脳らが平和記念資料館を訪れたG7サミットは記憶に新しい。英国のスナク首相は、こう記帳したという。「私たちが心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ」と。外務省のホームページにある〝no more〟の和訳に、腕組みしてしばし考え込む。

▼世界の秩序を腕ずくで変えようとする「ならず者国家」の試みを前に、われわれが立てるべき誓いは「繰り返させない」に尽きるだろう。今年の平和記念式典には、これまでで最も多い110カ国の代表らが参列する。誤ったメッセージを共有してはなるまい。