徒然なる儘に ・・・ ④

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

春秋(8月17日)

おとといは終戦の日だった。だが78年前の夏、玉音放送とともに戦火が消えたわけではない。日本の領土だった南樺太(現サハリン)もその一つ。直前に参戦したソ連の攻撃が激しさを増すのは15日以降である。公式資料によれば、犠牲になった市民は4千人を超える。

▼集団自決も少なくなかった。17日には国境に近い大平炭鉱病院の看護婦が逃避行中に集団自決をはかり、6人が亡くなった。その3日後、島の西岸にある真岡郵便局の電話交換手9人が服毒して命を絶った。いずれも後に小説や映画になった史実である。ご存じの方も多いはず。札幌と稚内にそれぞれ慰霊碑がたっている。

▼ノンフィクション作家の川嶋康男さんが昨年出版した「彼女たちは、なぜ、死を選んだのか?」が、2つの悲劇の過程をつまびらかにする。空襲と艦砲射撃に続き、上陸した敵兵が放つ機銃音が響く。10〜20代の女性が追い詰められ、絶望を募らせる。「私も乙女のまま清く死にます」。電話越しに残した言葉に胸がいたむ。

▼最後まで職場を死守した美談と語られることもあったが、川嶋さんは疑問を抱き、彼女らの悲しい選択の背景に迫る。国民にも染みついた「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓。真岡では青酸カリが用意されていた。つまり国に強いられた死だったということであろう。戦争の罪深さにあらためて慄然とする8月である。