徒然なる儘に ・・・ ④

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

(天声人語)ファーブル生誕200年 2023年12月23日 5時00分

 ファーブル昆虫記は、原題を「昆虫学的回想録」という。大正時代に日本で初めて全訳に挑み、その際に「昆虫記」と名付けたのは、思想家の大杉栄だった。獄中で、他の本を読むのを後にしてまで夢中になったそうだ

 

▼ファーブルについての多くの評価のうち、これが一番好きだと紹介している。「哲学者のやうに考へ、美術家のやうに見、そして詩人のやうに感じ且(か)つ書く」。うなずく人は多かろう。私も、幼いころにダイジェスト版を読んでとりこになった一人だ。あの中の場面が浮かぶ

 

 

▼狩人バチの本能の不思議さ、コガネグモの網の美しさ、大砲の音にも動じないセミの無頓着ぶり……。読み手は、本の中でファーブルと一緒に観察と実験をくり返しながら、小さな世界に分け入っていく

 

 

▼ファーブルが南仏で生まれたのは、1823年12月。今年は生誕200年にあたる。生家は貧しく、独学を重ねた末の遅咲き人生であった。55歳で第1巻を刊行し、そこからこつこつ書き続け、最後となる第10巻をまとめた時は83歳になっていた

 

 

▼こんな言葉を残している。「わたしは(略)今になって、どうやら昆虫がわかりかけてきたのである」。自分の足で遠い地平まで達した者だけが、さらなる地平を目にする。そういうことだろう

 

 

▼虫たちは今、木の皮の下などでじっと冬越しのさなかだ。でも昆虫記の中ではいつも変わらず、スカラベが「糞闘(ふんとう)」しているはずだ。年末年始の休み、ページをめくって彼らをのぞいてみようか。