徒然なる儘に ・・・ ④

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

ある政治家の晩年と検察権力 2023/12/30 05:00

KSD事件にからむ証人喚問で答弁する村上正邦氏=2001年2月28日

自民党村上正邦参院議員会長が平成21年暮れに当時、100歳だった天台宗渡辺恵進(えしん)座主を比叡山に訪ねた際の話である。座主は会うや否や「私は政治家が嫌いなんです」と言い放った。「政治家は自分の言葉に責任を取ろうとしない」。これには「参院のドン」と呼ばれた村上氏もうつむくしかなかったという。

▼座主は続けた。「私は心ある人たちには一言、『誠』と書いて送っているんです。誠という字は言葉が成ると書きますな」。政治家に実行、実現の意味について、もう一度考えてほしいというのだった。村上氏ならずとも胸に響く。

▼このエピソードを聞いたのは、村上氏が国会質問などの見返りに現金を受け取ったとして受託収賄容疑で逮捕され、1年5カ月の収監期間を終えて出所して間もない頃だった。20年3月に実刑が確定したときには、無実を訴えていた村上氏は「国家権力にはかなわん」と嘆息していた。

▼数日後、村上氏の事務所に行くと日章旗をかたどった造花が飾られていた。聞けば天皇陛下(現上皇陛下)のいとこである寬仁親王殿下が自らデザインし、実刑が確定した村上氏の見舞いに贈られたものだった。<無位無官老骨花に涙しぬ>。村上氏の句である。

▼平穏に1年を振り返りたい年の瀬を迎えても、自民党を巡る低次元な金銭スキャンダルは一向に収束しない。なぜこんなバカなことをとあきれるほかないが、これ以上の政治の停滞は勘弁してもらいたい。

▼<咎(とが)のなき我(わ)が背なを押し花嵐>。これも村上氏の収監前の句である。村上氏が最期まで無実を唱えたことの正否は問わない。ただ、実行力を持つ政治家を権力者と呼ぶなら、検察もまた巨大な権力機構であることを忘れてはなるまい。