徒然なる儘に ・・・ ④

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<産経抄>「殉法」の人どこに、自民党の処分 2024/4/5 05:00

自民党党紀委員会の結果を受け記者団の取材に応じる岸田文雄首相=4日午後、首相官邸(春名中撮影)

シチリア島(イタリア)が古代ギリシャ支配下にあった頃、いまの議会に当たる民会では、刃傷沙汰が絶えなかったという。法律家のディオクレスは「武器を持ち込めば死刑」との法を立てた。

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▼後日、軍を率いて戦場に赴こうとしたディオクレスは「民会で内乱の企てあり」と聞き、剣を帯びたまま議場に乗り込む。「見よ、彼は己の作った法律を破った」。市民の声で非を悟ったその人は、手にした剣で迷わずおのが胸を貫いたとされる。

▼『法窓夜話』(穂積陳重著)から引いた故事である。順法というよりは「殉法」だろう。わが国の辞書にない言葉の実践に、法に携わる人の矜持(きょうじ)を見る。

▼時代は下り、立法府のある永田町はかなり景色が異なる。政治資金パーティー収入の不記載事件を巡り、自民党の処分が出る前に身の処し方を語ったのは、その中身の是非はともかく二階俊博氏のみだった。処分は、法に背いた結果に他ならない。

立法府の一員として甘受するのが筋だと期待したものの、不満の声がかまびすしいのはどうしたことだろう。党を束ねる岸田文雄首相が処分対象でないことへの、恨み節も聞かれる。ディオクレス流の政治責任の取り方は、絵空事ということか。落としどころに腐心したであろう首相も、これで幕引きと独り合点されては困る。いわゆる「還流」の実態解明も政治資金規正法の改正もこれからである。

吉野弘さんの詩『風流譚(たん)』から一節を引く。<葭(ヨシ…善)も/葦(アシ…悪)も/私につけられた二つの名前です/どちらの名前で呼ばれてもハイと答えます>。有権者の思いをよそに、永田町には自ら「ヨシ」を名乗る人が多いらしい。殉法の故事も、耳をくすぐる程度の風なのかも。