徒然なる儘に ・・・ ④

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米映画監督オリバー・ストーンさん、沖縄でよみがえったあの日の記憶 渡辺丘2024年5月6日 8時37分

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米映画監督のオリバー・ストーンさん=2024年2月9日、オンライン画面から

 「プラトーン」「JFK」「スノーデン」など、戦争の真実や米国の暗部に迫る数々の映画を手がけ、米アカデミー賞作品賞や、2度の監督賞を受賞している米映画監督のオリバー・ストーンさん(77)が、辺野古をめぐって日本政府が沖縄県知事の権限を奪う「代執行」に及んだ後、朝日新聞のインタビューに応じた。今年、各国の著名人や有識者らとともに、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する声明を発表した。その真意を語った。

オリバー・ストーン

米国生まれ。ベトナム戦争を描いた「プラトーン」「7月4日に生まれて」でアカデミー賞受賞。その他の作品に「JFK」「スノーデン」など。今年1月、各国の著名人らと辺野古移設に反対する声明を発表した。

 ほとんどの米国人は、沖縄に米軍基地があることさえ知りません。知っているとしても、数%くらいではないでしょうか。

 私は友人に誘われて10年ほど前に一度、沖縄を訪ねました。昼食で食べたもずくのおいしさも忘れられませんが、それ以上にいくつもの衝撃的な出会いがありました。

占領地か、植民地か

 

 沖縄本島南部では、沖縄戦で島田叡(あきら)知事はじめ県庁幹部や多くの住民が避難した「轟(とどろき)の壕(ごう)」に入りました。県平和祈念資料館を見学し、米兵を含む沖縄戦の犠牲者らの名を刻んだ「平和の礎」に激しく心を動かされました。圧巻は、普天間飛行場近くにある佐喜真美術館です。丸木位里・俊夫妻が描いた絵画「沖縄戦の図」は、その実像をまざまざと描き出していると感じ、今も脳裏に焼き付いています。

 米軍基地ばかり見学したせいかもしれませんが、私の目に映った沖縄は、基地で埋め尽くされた軍事拠点のようでもありました。たくさんの米兵を見てよみがえったのは、1960年代に英語教師や兵士として赴いたベトナムの記憶。占領地か、植民地か。抑圧され、息が詰まるような思いをする人びとの姿が、当時のベトナムと、目の前の沖縄で重なり合うように思えました。

米国、日本、沖縄 80年変わらぬ構図

 米海兵隊にとって沖縄は、第2次大戦で多くの血を流して手に入れたものだ、という思いがいまなおあるように思います。米国は戦後、沖縄、日本、韓国、ドイツやイタリアなど海外の各地に基地をつくり、その数は800以上に上ります。本土復帰前の沖縄には核兵器が配備されました。

 しかし、真珠湾攻撃同時多発テロ以外に他国に攻撃されたことがない米国の市民は、米軍が海外で何をしているのか、あまり知りません。米国、日本、沖縄の関係性、構造が80年近く、変わっていない。米国の意向に従順な「属国」であり続けている、という印象さえあります。

 ボートに乗って辺野古沖の大浦湾にも出ました。地域の中でどれだけ緊張が高まっているかを現地で実感しました。沖縄では権力に対して闘い続けている人たちがいた。そういう意味でも、日本がただただ米国に従う姿は非常に残念です。

 沖縄の7割もの人たちが反対していることはとても重いことです。その県民の意思に反して、辺野古の基地建設を推し進めることは、民主主義に反すると私は考えます。

 日本では著名人が政治的なメッセージを発することがタブー視されていると聞きました。私も政治的なメッセージを発することでときに嫌われ、映画制作に協力が得られないこともあります。それでも私はこれからも作品をつくり、子どもや孫たちの未来のために発言も続けていきます。(渡辺丘)

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米映画監督のオリバー・ストーンさん=2017年1月

米教授・ピーター・カズニック氏が語る、辺野古反対声明の意図

 オリバー・ストーン監督ら各国の著名人や有識者ら400人以上が名を連ねた辺野古移設に反対する国際声明はバイデン米大統領岸田文雄首相、日米両国民に宛てて、「沖縄差別をやめ、沖縄の軍事植民地化に終止符を打たなければならない。その第一歩は、総工費65億ドル(約1兆円)以上、完成までに10年以上かかると予想される新基地建設を中止することだ」と訴えるものだった。声明の発起人の一人、アメリカン大学のピーター・カズニック教授(歴史学)は、その狙いを取材に語った。

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アメリカン大学のピーター・カズニック教授=2024年2月9日、オンライン画面から

 私やオリバー・ストーン監督、米国の仲間たちが声明を出したのは、沖縄の市民の7割が(県民投票で)埋め立てに反対の民意を示しているのに、米国や日本政府に押しつけられていることを知ってもらい、目覚めてもらいたいと願ったからです。不幸なことに、ほとんどの米国人は沖縄がどこにあるかさえも、よく知らない。米国内の関心も、台湾や沖縄、ウクライナから、パレスチナ自治区のガザに移っている。しかし、米軍基地の移設や沖縄の軍事化がいかに地元で受け入れられていないかを知れば、米国市民は動揺するかもしれません。

米国=「基地の帝国」

 米国は『基地の帝国』になっています。中国がアフリカのジブチに基地を設け、南シナ海にいくつかの軍事拠点を持っているのに対し、米国は世界各国に800もの基地を維持しています。そのなかで沖縄は、第2次世界大戦中に土地をおさえて米軍基地を建設し、1972年の日本復帰まで統治下に置いた場所です。さらにベトナムイラクアフガニスタンなど、あらゆる米国の戦争で重要な出撃基地でもありました。

 私はオリバー・ストーン監督と2013年に辺野古を訪れて以降も、何度か沖縄を訪れています。国土面積の1%もない沖縄に全国の米軍専用施設面積の7割が集中しているのは、ものすごく不均衡に見えます。沖縄の人々が米軍基地に反対の意思を何度も示しているのに、本土が『NIMBY(not in my backyard=わが家の裏庭には置かないで)』という態度で自らの負担を望まず、沖縄に過重な基地負担を強いていることは非民主主義的だと思います。日本政府による『代執行』も、民主主義に反していると言わざるを得ません。

 辺野古沖の大浦湾は262の絶滅危惧種を含む5800種以上の生物が確認されており、世界的にも貴重な海域です。『マヨネーズ並み』とも言われる軟弱地盤を強化するため、約7万1千本の杭を打ち込む。これは環境面の大惨事に見えます。沖縄の人たちが(2019年の県民投票や直近3度の知事選で)反対の意思を示し続けているのに、大事な自然を破壊して米軍基地を建設することに、私の友人の生物や環境問題の専門家たちは恐れおののき、声明に賛同しました。

 10年前に比べて、アジア太平洋地域では軍事化がずっと進んでいます。(各国で)防衛費は急増し、フィリピンは米軍に四つの基地を提供しました。中国包囲網を強化する動きが相次ぎ、緊張が高まっています。米国や日本の市民は、自国政府にもっと外交交渉をするよう圧力をかける必要があります。軍事的な対立を減らし、もっともっと外交を尽くす方向に持っていかなければなりません。