徒然なる儘に ・・・ ④

心機一転、新たにブログ再開です💕 雑談を書くことも多いですけれど・・・(主に、電子ゲーム・ネタ💕)、残りは【新聞記事】にコメントを入れています💕

<産経抄>一字も変わらず77年、憲法記念日 2024/5/3 05:00

岸田首相

太宰治の掌編『トカトントン』は、幻聴に惑う「私」の物語である。何か新しいことに情熱を注ごうとすると、どこからか釘(くぎ)を打つ音が聞こえてくる。トカトントン。頭の中に鳴り響いたが最後、何もする気が起きなくなり…。

例えば、こんな具合である。「新聞をひろげて、新憲法を一条一条熟読しようとすると、トカトントン」。作品の発表は昭和22年1月、日本国憲法の公布から約2カ月後だった。字面だけを追えば、戦後の占領政策に屈した無力感が読み取れる。

文芸評論家の桶谷秀昭氏はしかし、大著『昭和精神史』で指摘する。「太宰治の戦後における反抗精神は占領軍の検閲とすれすれのところで表現された」。先の一節は検閲を通った。押し付けられた憲法への反発を屈折した形で表現した―のだとすれば、お見事というほかない。

トカトントンの幻聴、いや〝平和憲法〟の幻想はいつまでわが国を苦しめるのだろう。憲法は一字も変わることなく施行77年を迎えた。自衛隊はいまだ明記されず、外国からの激しい攻撃や大災害などを想定した緊急事態条項の創設も手つかずだ。

中国、ロシア、北朝鮮と向き合う日本の安全保障環境は厳しく、列島各地では地震被害が続く。改憲は焦眉の急だが、主導すべき自民党は政治資金を巡る問題でもたついている。自民総裁として「任期中の改憲」を掲げる岸田文雄首相が道筋を示さなければ、覚悟を疑われよう。

多くの国民は改憲が必要だと理解し、国民投票を待っている。その機会を共産党とともに長らく阻んできた野党第一党が、臆面もなく「立憲民主」を名乗るのが不思議でならない。改憲」と聞いた途端に、彼らの頭の中でトカトントン。まさかとは思うが。